銀行員なんか辞めてやる!
「お前がやらなかったら誰がやるんだよ!!!!」
毎日言われ続けている言葉。
そう、ノルマの話である。
世間一般に夏といえばボーナスである。
しかし、銀行員にとっては定期預金の夏である。
キャンペーン定期預金というのが夏と冬にある。
その時期にATMにでも行けばチラシが貼ってあるだろう。
要はボーナスが入った人から金を集めて来いというわけだ。
だいたい1シーズンで1億程度のノルマがある(人によるけど)。お客一人から100万円集めたとして…集められたとして…どれだけ時間がかかるのか…
そんなノルマが毎年毎年かかってくる。
もちろん、その他にも毎月のノルマがのしかかってくる訳だ。
そして冒頭の御言葉を頂くわけである。
毎日の雑務とノルマに追われ追われ追い詰められ、ある日の朝のド詰め(ノルマ達成を追い詰める事を詰めると言う)でプッツリ切れてしまった。
キレたわけではない。
それまで銀行員として自分を操っていた糸がプッツリと切れてしまった。
「あぁ、辞めてしまおう…」
そんな気持が心の中を浸透していく。
その日は仕事にならなかった。
疲れて気分転換をする気にもならなかった。
2つ上の仲の良い先輩行員に電話をした。
そして、この1本の電話が人生を変えることになるとは、この時は思いもしなかった。